ピロリ菌検査

なぜ「ピロリ菌」?

「ピロリ菌」,ある程度ご存知の方も今では多いと思います。
みなさまになぜピロリ菌について知っていただきたいかというと、近年の胃がん治療が劇的に変わってきているからです。

不治の病だった昔々の胃がんは、やがて手術をすれば治る時代になり、今では手術すら不要の時代になりました。口からの胃カメラで病巣を切り取ってしまえるほど、内視鏡による治療技術が向上しているのです。また、運悪く手術をするにしても「腹かっさばいて」、ではなく、多くは腹腔鏡で行われるようになりました。

しかしここで大切なのは、「早期診断」なのです。病巣が大きくなってしまったら、治療も大掛かりになります。だから、自分が胃がんになりやすいのか否かを知ることはとても重要なこととなります。

そのカギを握るのが「ピロリ菌」なのです。

ヘンな菌なんです

この菌は胃の中を棲家にしており、ヘリコバクター・ピロリというのが本名(和名)です。
大腸の中には様々な腸内細菌が雑居し共生していますが、空腹時の胃の中は胃酸のためpH1~2という過酷な環境です。極寒のシベリアの地とでも言えるでしょうか。したがって普通の菌は胃の中で生活できません。わざわざそんなところに好んで住むこの菌は,他の菌と共生できないちょっと変わり者の細菌なのです。
ピロリ菌はシベリアの地に暮らすため、「ウレアーゼ」という特殊な酵素を持っています。この働きにより酸を中和し身を守っています。

潰瘍・胃炎・胃がんの原因に

こんな「変人」のピロリ君は胃に悪さをします。ふかふかの胃粘膜のすき間にもぐりこんだピロリ君のために、周囲の胃粘膜はやせ細っていきます。そうするとまた別のすき間で繁殖を続け、胃粘膜を広く荒らしていきます。この結果、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が発生します。
荒らされた胃の粘膜は「萎縮性胃炎」と呼ばれる状態になり、ついには「胃の粘膜」ではなく「腸の粘膜」のような見た目になってしまいます。このように変化してしまった粘膜には,胃がんができやすくなります。
また、特殊なタイプのリンパ腫であるMALTリンパ腫(マルトーマ)や、特発性血小板減少性紫斑病(血が止まりにくくなり、青あざ=皮下出血ができやすくなる)などの病気を引き起こすこともあります。

日本人の感染率は高い?

ピロリ菌は口から体の中に入りこんでいきます。ですので、衛生環境があまりよくなかった時代を過ごした50代後半以上の方では70%以上が感染していると推定されています。若い人でも、親がピロリ感染者だと感染率が高い、というデータがあります。
自分がピロリ菌に感染していないかどうかはどのように調べたらよいのでしょうか。最近では健診やドックの胃レントゲン検査で「萎縮性胃炎」と診断される場合があります。この場合はピロリ菌がいる可能性があります。また、胃・十二指腸潰瘍の患者さんも同様です。これらの病気と診断された場合はピロリ菌の検査をしておくべきです。将来的に胃がんになるかならないかの分かれ道だからです。

検査法は大きく分けて3つ。血液、便、胃カメラ施行時の迅速検査、です。このあたりについては当院医師にご相談ください。

退治できるの?

感染が判明したら除菌することをおすすめします。除菌すると潰瘍や胃炎による症状(痛み、不快感など)が軽くなり、潰瘍の再発率も著しく低下します。 胃がんの発生も減少すると考えられています。国内の調査では,除菌した患者さんでは胃がんの発生が1/3になった、と報告されています。
除菌には2種類の抗菌薬と1種類の胃薬を1週間内服します。除菌後しばらくしてから「除菌判定」を行い、本当に除菌されたかを確認します。この時の検査は前述のものとは違いますが、苦痛のない簡単な検査です。基本的に内視鏡検査は不要です。最終的な除菌成功率は約95%です。

また、40歳までに除菌できれば、その後胃がんになる確率は非常に低いとされています。ただ、除菌されても感染していない人よりは胃がんになる確率は高いので、定期的な胃カメラは受けられることをお勧めします。

オフィス街にはストレスによる潰瘍や胃炎がつきもの。でも、本当はピロリ菌が原因かもしれません。日本人のがん死亡の原因として胃がんは男性で2位、女性で4位に後退しましたが、それでも罹患率はまだまだ2位をキープしています。胃の症状がある方もない方も、十分お気をつけください。

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内科・外科・消化器内科・消化器外科
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